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【ロンドン個展第4話】なぜ絵を展示するのか。~個展での出会いと学び~

こんにちは、画家の atsuko です。アートで暮らしを豊かにするヒントについて書いています。
あじさい

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exhibition イギリス・ヨーロッパ
会場にて

​ こんにちは。
日本画家のAtsukoです。

来る8月21日~25日、埼玉・川越の百貨店 【まるひろ百貨店 川越本店6階ギャラリー】 にて展覧会を開催いたします。

その開催にあたり、「日本画おたより」では数回に渡って、前回のロンドンでの個展の様子をお伝えしているシリーズの、今回は最終話第4話になります。

この展示、実は色んなエピソードたっぷりでしたので、ぜひ皆さんにお読みいただきながら、個展とはこんなものか…という様子をお伝えできたらと思います。

最後に★★お役立ち情報★★もありますので、ぜひチェックしてくださいね!



【第4話】ロンドン展示での忘れられない出会い

こんにちは、日本画家のAtsukoです。
いよいよ始まったロンドンでの展示。
会場に立つ毎日が、驚きと学びの連続でした。作品を前にして人々がどんな表情を見せ、どんな言葉をかけてくれるのか――その一つひとつが新鮮で、そして自分を客観的に見つめ直す大切な時間となりました。
展示を通して強く感じたのは、「作品を人に観てもらうこと」の大切さです。自宅で一人描いているだけでは決して得られない発見や出会いが、展示の場にはあふれていました。


◆カールヘアーの大柄な紳士

まず印象的だったのは、金髪カールヘアーの髪大柄の男性。
犬張子のお守りを描いた作品の前で立ち止まり、「これはジブリみたいだね。とても好きだよ」と笑顔を見せてくださいました。日本びいきで、アートが大好きな方。娘さんをこのギャラリーのあるアートスクールに通わせているそうです。
「この間もパリに展示を見に行ったんだよ。僕は現代アートも好きだけど、家に迎えるなら、あなたのようなクラシックな絵に惹かれるんだ。」
そう話しながら、アンティーク額に入れた花の作品も購入してくださいました。

この方の一言は、なるほど絵を購入するにあたり、万国共通の思いがあるのだな…と気づかされました。現代アートのような、政治的なメッセージや強いインパクトがあるものも必要だけれども、自分で日々の暮らしのなかで眺めて楽しむアートは、また別の心持ちで愛されるものなのだなと。

girl
お礼にお嬢さんのポートレイトをプレゼント




◆白髪の紳士の「美しい」のひとこと

また、忘れられないのは優雅な物腰の白髪の紳士。マネージャーを伴い、アートクラスに通う途中でふらりと立ち寄られました。
「これ、いいね。あとで戻ってくるよ。」
そう言い残しアートクラスに向かい、レッスンの後に戻ってこられて、お茶を飲みながらしばし休憩。そして、作品の前に立ち、じっと見つめながら一言。
「この絵は美しい。ずっと見ていられるね。」
その言葉を聞いた瞬間の感動は、今も鮮明に残っています。なんとこの方、ダリの作品を自宅のコレクションに持っているとのこと!世界的巨匠の絵と同じ部屋に、私の作品が並ぶのかと思うと、身震いするような思いでした。

portrait
こちらも御礼の似顔絵




◆アラブ系のコレクターとの驚きの出来事

さらに驚かされたのは、これまた付き人がいつも一緒のアラブ系の男性。展示を観て気に入ってくださり、「近所だから来なさい」と自宅に招いてくださったのです。そこはまさに豪邸。近代的なフラットの最上階にあるペントハウスだったのですが、ロンドンの夜景が一望できる、ため息が出るほど贅沢な空間でした。
そして、なんと一度に7枚もの作品を購入してくださったのです。家をいろんなところに所有しているから、飾る場所はいくらでもあるとのこと。こんな世界があるとは…

人生の中でこんな経験をするとは夢にも思っておらず、ただただ驚きと感謝の気持ちでいっぱいでした。


◆日本画と出会った日本人女性

また、嬉しい出会いもありました。ご家族で長年ロンドンに住まれている日本人女性。ご自身は油絵を学ぶため、このアートスクールに通っているそうです。
「ロンドンに長年住んでいましたし、日本に住んでいるときにも、なぜか日本画に触れる機会があまりなかったんです。」
そうおっしゃっていましたが、展示をきっかけに日本画の独特の材料に強く惹かれ、その後なんとご自身でも日本画を学び始められました。やがて素晴らしい作品を描かれるようになり、このことは私にとっても心から嬉しい出来事でした。

このお方ともその後継続的にお付き合いをさせていただき、現代日本画がいかに知られていないか、それを変えるためにはどうしたらいいのか、という共通の思いをお話することも。


◆庭師のおじさまと「陰翳礼讃」

もう一人、印象的だったのは庭師のおじさま。
ポストカードをきっかけに展示に足を運んでくださり、日本文化への深い関心を語ってくださいました。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を愛読しているそうで、日本の障子や光と影の美学について熱心に話してくださいました。
その言葉に耳を傾けながら、「やはり私はもっと日本画を描き、日本文化について語れる人間になりたい」と強く心に刻みました。

よくある話ですが、私はイギリスに住んでいながら、それまでアートを介した友人などが少なかったこともあり、「日本文化」「日本美術」に関しての語れるような知識があまりありませんでした。
今回日本に興味のある方とお話をすることで、自分の無知やアイデンティティの薄さがより感じられ、自分の進む方向について考えさせられるきっかけになったのです。


友人や知人も足を運んでくれ、展示は大盛況のうちに幕を閉じました。
さらなる展示のお話や、似顔絵のご依頼にもつながり、そしてかの学長のイザベルからは「あなたはプロフェッショナルだわ」というお褒めの言葉まで!
展示作業中はクレームまで言われ、落ち込んだこともありましたが、挑戦して本当によかったと心から思いました。

exhibition
会場にて





4回にわたって綴ってきたロンドン展示のお話は、ここで一区切りとなります。

もしあなたも作品を描いていて、家に眠らせたままにしているのであれば、まずは1点を公募に出してみる、あるいは仲間とのグループ展から始めてみることをおすすめします。展示を通じて得られる学びや出会いは、一人描いているときとはまったく違うものだからです。


★★絵を展示する場所って、どんなものがある?★★

・サークルや教室の展覧会
 →どこかに属していれば、先生がアレンジしてくれて挑戦しやすいですね。
・地域の美術展
 →近所の公民館などで、1点から誰でも出品できる展覧会が意外とあります。まずはこんなところからもあり。
・友人などとグループ展を企画、または個展
 →カフェギャラリーや貸しギャラリーで開催。料金はかかるが、場所や宣伝方法によっては多くの方に観てもらえる可能性も。
・地域の美術公募展、全国公募展
 →ネットで過去の入選作を見て、自分の作風に合うものかを調べてから。「挑戦」という意味合いですね。他の作品や入賞作品を観て学ぶことも多い。
・オンラインギャラリー
 →今は手軽にスタートできるオンラインショップやウェブサイトに作品を公開しておく方法も。メルカリで販売してる方もいらっしゃいます。


そして、いよいよ今週木曜日からは、自身の作品20点を並べる二人展が始まります。
お近くの方にはぜひ実際に足を運んでいただければ嬉しいですし、遠方の方のためにオンラインギャラリーもご用意しました。画面越しでも作品をご覧いただき、ご感想等いただけたら幸いです。

【オンラインギャラリーはこちら】
※作品のご予約も承っております。オンラインギャラリーから直接購入された場合、在庫と連動していないことがありますので、ご希望の方はこのメールにご返信ください。高解像度の画像もお送りできますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

それでは、会場でお会いできることを楽しみにしております!

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日本画家 Atsuko

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