今回は少々ダークな話になってしまうので、
特に興味のある方以外はご遠慮頂いたほうがいいかもしれません。
私はイギリス滞在中、日本での仕事を休職し、
いわゆる「駐在妻」になりました。
そして、渡英したときは子供が0歳だったので、乳幼児育児が主な仕事でした。
その生活の中で、時間をやりくりして絵を描いていました。
育児は楽しいことも多いですが、実のところ親にとっては我慢だったり、大変なことも多いです。
この記事では、私が約5年間の (ほぼ) 主婦時代に、育児(・家事)ノイローゼにならないために工夫していたこと、
また、育児の傍らで絵を描いたり、英語の勉強をいつしていたかという話を書きます。
絵描きとしてだけでなく、育児中、また育休中の過ごし方のアイディアについて、少しでも皆さんとシェアできればと思います。
育児育児ノイローゼを防ぐ① 【つらさを認める】
最近はやっとよく言われるようになりましたが、育児は大変な仕事です。
育児で心を病まないために…まず大事なことは、
その「大変」「つらい」気持ちにフタをしないことだと思います。
そして、大変さは出来るだけ、周りの人とシェアできるといいです。
辛さを自覚して、それを和らげるために
出来ることを前向きに考えていけるといいですね。
一昔前であれば、「育児はつらい!」と女性が声を上げることさえ
憚られたこともあったのでしょう。
なぜなら、女性は生まれながらに母性を備えており、育児は喜びである
という社会的な意識、またはプレッシャーがあるからです。
もちろん、育児には楽しい・喜びの瞬間も沢山あります。
けれどもそれと同じくらい、親になりたての一女性としては
頑張らないといけないこと・我慢しなければならないとき・急な変化への対応
といったことが次々と襲ってくる
というのもまた事実なのです。
私も、子供がとてもかわいいと感じられていた半面、
育児中心の生活は、正直、辛いと感じることもしょっちゅうでした。
なぜ、このように育児は大変なのでしょうか。
【育児のつらさ】自分のペースを乱される
育児の大変さの大きなものに、
親のペースを乱される、というか、赤ちゃんのペースで生きなければならなくなる
ということがあります。
小さければ小さいほど、
赤ちゃんは自分の欲求を泣くことでしか表現出来ません。
赤ちゃんが泣けば、母親は、出来るだけ想像力を働かせて、何が必要なのかを考え、
助けてあげなければいけない気になってしまいます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、親がそうしないと死んでしまうからです。
赤ちゃんが少し大きくなっても、3.4歳までの言葉が分からない、
または分かっても理由の理解が出来ない年齢であれば、
親は常に子供のペースで動かざるを得ません。
例えば、
子供が早朝に起きたら、自分も起きなければならない
に始まり、
目的地に着いてからおやつをあげたいとき
着くまでまであと5分だからお腹空いたの我慢してね
が理解できなくてグズって道のりが進まない
ご飯を用意するからちょっとキッチンに行きたい
が我慢できない…
遊んで欲しくてまとわりつく
子供が昼寝を始めた思って少し家事をして、それから自分もやっと一息し始めたら、子供が起きる…
こんなことが、1日中続きます。
これは、子供が悪いのではなく、子供とはこういう生き物なのですよね。
けれど、大人としては自分の思い描いたペースで動けないことに、ついイラッとしてしまうのです。
つまり「自分のペースで動けない」とは、
例えばよく聞く「美容院にいく時間がとれない」とはまた別次元で、
育児中は24時間進行する、「親が思ったように行動が出来ない」状況といえます。
【育児のつらさ】自分の時間がない
こちらが、いわゆる
「美容院にいく時間がとれない」
「友達と飲みに行けない」
といった状況かと思います。
私もやはり、
気分転換の時間確保が難しかったほか、
絵を描く時間の確保だったり、
展示をなかなか見に行けなかったりすることが、
いつも不自由だと感じていました。
【育児のつらさ】正解がない
子供の成長に関して、例えば何かできるようになった時などには
親は嬉しさを感じられますが、
それこそ、その時点で、子供がどうなっていれば正解
ということをハッキリと感じられている親は少ないのでは無いでしょうか。
私もこれは分かりませんでしたし、子供が少し大きくなった今も分かりません。
例えば
「今日も野菜をあまり食べてない
こんなことで体は・味覚はきちんと育つのだろうか」
「うちの子こんなことばかりしているけど、ちょっと年齢の割に幼いんじゃないかな」
「さっきは躾と思って厳しく言ってしまったけど、これでよかったのかな…」
考え出すとあらゆる点に不安や迷いが生じてしまうのです。
大切な我が子だから、なるべくベストな考えで育ててあげたい
そう感じる親だからこそ、このような悩みが発生してしまいます。
さらに、「こうしたらこのような結果が出る」
といったことが、育児においてはとても少ないので、
親にとって、絶対に安心できる正解、というものは存在しないからです。
あらゆる点について、正解がないのですから、
- ネットに情報を求めに行く。
- ネットにはさらにあらゆる情報が溢れていて、ますます迷いが深くなる
- 周囲の人とも考えの違いがあり、対立してしまう
そういった状況で、親は追い詰められてしまいがちです。
私の場合は海外生活ということもあり、
それはある面ではプラスにはたらきましたが、
例えば食事や生活の便利さという点では、思うようにならないこともありました。
けれども、だからこそ、自分と向き合って絵を描くということも
細々と継続できたのかなと、今になって思います。
以下は、私がベビー育児中に(そして今も)心掛けていたことです。
育児ノイローゼを防ぐ② 【完璧を求めない】
子供にベストなことを、と考える親だからこそ、知らず知らずのうちに
「子供のために、これをしないといけない」
が多くなってはいないでしょうか。
あらゆることがままならない育児ですから、「○○しないと」を増やしていくと、
生活が大変になるだけでなく、
頑張っている自分への満足感も下がってしまうことになりかねません。
「何が出来なくとも、今日も一日元気だったからOK!」
くらいの心持ちで、親としての自分を追い詰めないようにしましょう。
育児育児ノイローゼを防ぐ③ 【小さな目標をつくる】
目に見えた成果や、仕事の終わりが見えにくい育児生活。
私も、子供が0歳の頃は特に、
育児以外まともに何かは出来ませんでしたが、
少しだけ余裕のあるときには、小さな達成感のあることをやっていました。
本を読むとか、
一時期は赤ちゃんグッズの裁縫をしていたときもありました。
裁縫などは工程が決まっているので進みが分かりやすく、
1行程進んだという小さな達成感が、
その都度味わえました。
もう少し余裕が出来てからは、
1週間や1ヶ月単位で小さな目標を決めたりもしました。
例えば
英会話のスクールに通っていたときは、
週1〜2本の、ニュース記事を勉強して行くという宿題をこなすこと
画業では、
今月中にこの絵を描き上げる
今年はこの公募展に出品する
など。
目標を決めると重荷になることもありますし、
自分にできる範囲で考える
ということがとても大事です。
私にとっては、お裁縫や英語の勉強はわりに取り組みやすかったです。
なぜなら、工程や宿題など、やることがある程度決まっていること
だからです。
これが例えば
今年中に有名画家になる!などという、
ゴールの像が曖昧かつ、達成までの期間が短すぎる課題を自分に課してしまっていたら、
精神的につぶれていたでしょう。
周囲の友人などを見ていても、刺繍などハマりごとのある人もいて、
自分と同じような理由からなのかな?と思っていました。
育児ノイローゼを防ぐ④ 【思い通りになる時間】
思い通りになる時間…それは、赤ちゃんのお世話をしない時間のことです。
つまり、
- 赤ちゃんの昼寝
- 託児
この二つの時間を死守し、親のメンタルキープに使います。
ある時期は、こんなルーティーンで生活していました。
- 起床
- 朝は家で過ごす
- 午前10時から12時の一時預かり →英語の勉強
- 昼食
- 少し遊んで昼寝 →絵を描く
- 昼寝から起きたら夜までお世話
- 子供就寝 →絵を描く
預かりの間と、子供が寝ている間は、自分時間を死守するようにしていました。
そしてその時間を、「自分の思い通りになる」時間としました。
私にとっては、絵を描いたり英語を勉強したりと、
自分で集中できる時間
それが何よりの自分の心の栄養だったので、
この時間に家事などは、ほぼしていないと思います。
そのせいで夕食も適当、
ドアの陰にホコリがたまっていることもしょっちゅうでしたが、
自分時間がどうしても必要だったので、
そこはかたくなに守っていました。
しかし、ここを守ったことで、
自分の精神状態もキープできたし、絵を細々と続けることもできました。
また、適当すぎる家事・育児でしたが、
それが子供に特段悪い影響をもたらしたとは思っていません…
(離乳食なども、最低限しかやっていない)
もちろん人によっては、この時間に
くたくたになった体を休める、
掃除をしてリフレッシュする、ドラマを見るなど、
過ごし方は様々だと思います。
自分のやりたいことをする、というのが大事です。
育児ノイローゼを防ぐ⑤ 【預ける】
上に書いた生活ルーティーンの中に、「一時預かり」というのがありましたが、
そこは、イギリスで恵まれていた点なのかなと思います。
というのも、イギリスにいたときは、
赤ちゃんを預けられる施設が、わりと身近にありました。
それで、上に書いた、「ちょっとした自分のための時間」を見つけられていた
ということが大きいです。
何しろ完全なる核家族生活。
近くに頼れる親類はいません。
一時預かりでもなくては、私は本当にしんどくて倒れていたのではと思います。
ロンドンでの託児
ロンドンでは、私は一時期絵の教室に通っていましたが、
そこはカウンシルの生涯教育センターのような所の一教室で、
センターの中に託児室がありました。
少し料金はかかりましたが、授業を受けている間
週に1度、4.5時間の間赤ちゃんを預けられたので、
とてもよかったです。
また、英会話スクールにも、授業中の託児室。
近所のスポーツセンターにも、1日2時間までという託児室がありました。
(このスポーツセンター内にいれば何をしていてもよく、
私はカフェで英語の勉強をしていました)
またロンドンのナーサリー(保育園)は、私立であれば、空きがあれば、
親の就業に関わらず週2~預けられるなど。
私も子供が2歳代からは、お金はかかりますが、
夫の会社からの補助も利用して一時預かりを始めました。
3歳の9月からは公立も通えます。
これらをフルに活用しまくり、
何とか育児のスキマ時間をつくり、
これを自分のペースで動ける時間、にしていました。
私は、ワンオペをしている親が追い詰められてしまうくらいなら、
こういった預かりはどんどん利用してよいと思っています。
きっと、信頼して預ける施設のスタッフの方々も、
その方たちのやり方で子供達を可愛がってくださるはず。
疲れ切った顔の私と二人でいるよりも、
またテレビなどをつけっぱなしにしておくよりも、数倍いいんじゃないか。
それに、子供が多くの人に出会って育つのは、きっとよいことだろうな。
託児所に迎えに行った時に、我が子がいつもの数倍愛おしく思えます(笑)
我が子も、リフレッシュした親の顔を見るのが嬉しいはず…
などと、個人的意見を並べ立ててしまいましたが、
それは分かっていて、預けたくても子供が泣いてしまって出来なかった、
などといった方も周囲にはいて、
それほど思うがままにならないのが育児生活ですよね。
(私も、今でもそういうことはあります。)
ですが、少しでも追い詰められる親が減ってほしいと思うので、つい長々と書いてしまいました。
日本にも、
もし周囲に頼れる人がいなくても、
ファミサポとか、幼稚園の一時預かりなど、
最近は預けられる選択肢が少し増えているのではないのでしょうか。
もっともっと、託児施設も含め、
「子供を皆で育てられる」社会になればいいのにと思います。
育児ノイローゼを防ぐ⑥ 【子供と楽しむ】
子供を預けられない時の過ごし方
(まぁこれが殆どですが)
私の場合は、子供と二人っきりになると
追い詰められる傾向にあったので、
子供を預けられないときは、チャンスを見つけては親子で外出する
という楽しみをもつようにしていました。
子供が本当に小さい頃は、出来ることが少なく、
「一緒に楽しむ」という感覚がもちにくいので、
例えば親子向けのミュージアムなどに行っても、
子供にはそのよさが分からない…ということが多いです。
そんなときは、そのような場所に
気の合う友人母子と一緒に行くこともありました。
そうすると、大人同士での会話も楽しめ、
ある程度の年齢からは子供同士でも絡める
何よりお出かけは、移動や食事などの労力がかかり大変なのですが、
2組で助け合えば何とかなりました。
また、遠出でなくても、
近所の公園でも、子供を遊ばせたりお世話をしながら、
ママ友と愚痴を言い合ううなどするのは、よいストレス発散でした。
親子だけであっても、
外の空気を吸う・好きな食材を買いに行く
だけでも少し気分が変わります。
ちょっとした習い事や、
単発のベビークラスに参加してみたりもしました。
また、ロンドンには気さくな人が多いので、
子供を遊ばせる施設などに親子で出向くと、誰かと話せる
といったことが、ちょっと気分転換に。
どちらかというとイギリス人よりも、外国人ママ、ナニーさんなど、
英語がお互い不自由な人同士のほうが気楽で話しやすかったです。
こんな感じで、毎日息抜きをどこかのタイミングでとることにより、毎日を回していました。
育児ノイローゼにならないために出来ること・まとめ
今回は、育児ノイローゼにならないために、
また育児中にスキルアップをゼロにしないために、
私が工夫していたことを書きました。
ポイントは、下記の6つです。
- 育児の辛さを自覚する
- 自分に完璧を求めない
- 小さな目標を決め、できることをやる
- 自分の思い通りになる時間をつくる
- 子供・赤ちゃんを預ける
- 一緒に楽しめることを見つける
海外だから、また画家として特別ということを言いたいのではなく、
一般的な育児中の生活について自分なりに考えたことです。
日本での育児であれば、早々に仕事復帰をする方も多いでしょうし、
親の手を借りられる場合があるなど、また違った感覚だとは思います。
しかし基本的にずっと続く育児の毎日、
「親の笑顔は子供の幸せ」
を目指して、工夫して過ごしたいものですね。