日本画の画材・基本7アイテム【初めてのお買い物!】

こんにちは、画家の atsuko です。アートで暮らしを豊かにするヒントについて書いています。
あじさい

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日本画絵の具 日本画
日本画絵の具

日本画を始めるときに、これだけは揃えよう!というものを、
具体的な商品とともにご紹介します。

日本画の画材は扱いがすこし複雑で、
人により材料の使い方が変わってきたりするので
絶対ということはありません。

各材料のメーカーも、画材屋さん店によって扱っているものが違うので、
まず始めるのであれば、そのとき手に入りやすいもので大丈夫ですが、

選べるならコレ、というものをご紹介するリストとなっています。

大体のものについて、おすすめのサイズまで選んであるので、参考にしてみてください!

また、もう少し一つ一つについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

初めての日本画材① 絵の具

岩絵の具 【必要度★★★★★】

日本画で使う基本の絵の具です。

天然の材料や、人口の材料のものがあり、1色あたりの値段も様々です。

絵の具屋さんに、色々な基本色セットがあります。

例えば、ウエマツさんのこちら

天然岩絵の具セット(ウエマツ)
天然岩絵の具セット(ウエマツ)
新岩絵の具セット(ウエマツ)
新岩絵の具セット(ウエマツ)

上のセットは「天然絵の具」=天然
下のセットは人口の「新岩絵の具」=人口 です。

どちらも粒子の細かさは同じで、9番に揃えてあるので、混色もしやすい

この組み合わせで、天然と新岩絵の具の違いを感じながら描いてみるのもよいかも。

新岩絵の具セット
新岩絵の具セット

もう少し大きなセットでこんなのも。
(こちら三吉さんですが、ウエマツさんにも同じようなものアリ)

このセットの特色は、
同色で、番手(細かさ)を2種類ずつ揃えてあること。
よく見ると、上下2段ずつに分かれており、その中で上段は荒くて濃い色の絵の具、
下段は細かくて淡い色の絵の具になっています。

このようなセレクトでは、同じ色同士の、濃淡の差を楽しめます。

このくらいあると、かなり色々描けそうだな…とはいえ、お値段が張るなぁ…

ですよね。

いきなりセットを買うのは怖い!というときは、

セットの色を参考に、欲しいものだけ単色買いできます。

絵の具さんに行くと、瓶に沢山の色が並んでいるので、
瓶をカウンターに持っていって、「1両ずつ」というと、
ちょうど最小単位の15gずつ測って、袋詰めしてもらえるのです。

(ちなみに、紹介したセットの絵の具は、各色大体15g入りです)

【結局】

ケチな私なら、こんな買い方をするかもしれません。

  • ナカガワの赤箱 10,120円
  • 天然岩群青の9番 (青系、輝きがきれい)1両 3,960円
  • 天然松葉緑青の9番 (緑系、日本画といったらコレ)1両 1,848円

(上記すべてウエマツで、計15,928円。価格は変動するので都度確認ください。)

この辺りで、岩絵の具の感じをつかむ。

描きながら、また必要な絵の具があれば、買い足します。

水干絵の具 【必要度★★★★☆】

水干セット

まず1枚描くなら、全体に使う下地用に1色だけ買うのもいいですし、

いずれ使うことを考えれば、
何色かのセットを買ってもよいでしょう。

1本400円くらいで、長く使え、
岩絵の具に比べてリーズナブルです。

初めての日本画材② 胡粉 【必要度★★★★★】

胡粉(白鳳)
胡粉(白鳳)
乳鉢・乳棒
乳鉢・乳棒

和紙に下地を塗る/絵の具の白色として使います。

胡粉を使うときに、乳鉢+乳棒のセットも必要です。

初めての日本画材③ 絵皿 【必要度★★★★★】

絵皿
絵皿

上に挙げた絵の具を、絵皿で自分で溶いて使うのが日本画です。

大体10.5cmのものが、4.5枚は必要でしょう。

残った絵の具を取っておくのに、便利なフタも売っているのですね。

通常はフタ無しなので、絵の具を取っておくときはラップを掛けておきますが、
フタの方が繰り返し使えてエコですね!

初めての日本画材④ 墨 【必要度★★★★★】

古梅園の墨液
古梅園の墨液

線を引く/黒色として使います。

私は墨を大量に使う作品をあまり描かないので
いつも少しずつ硯で擦っていますが、

調べてみたら老舗墨屋さんで有名な「古梅園」の墨液がありました。
膠系とあるので、日本画と相性がいいかも。
(そこまでこだわらなくても、もっと少量で買えるものでもいいと思います)

初めての日本画材⑤ 膠 【必要度★★★★★】

絵の具を和紙に定着させるために使います。

膠(にかわ)がないと、日本画の絵の具はサラサラ粉状なので(岩絵の具・水干ともに)
それだけで紙にくっつくことはありません。

本格的には固形のものを自分で溶いて使いますが、
最初はボトル入りのもので大丈夫です。

ニカワ
ニカワ

初めての日本画材⑥ 筆 【必要度★★★★★】

  • 彩色(さいしき)筆 … 大きめの面を塗るときに。6号
  • 則妙(そくみょう) … 細かい場所を塗るときに。中
  • 面相(めんそう)… 線描きに。中
彩色筆
彩色筆
則妙筆
則妙筆
面相筆
面相筆

初めての日本画材⑦ 紙 【必要度★★★★★】

  • 雲肌麻紙のパネル張りしたもの または
  • 麻紙ボード

初心者ならば、このどちらかが使いやすいでしょう。

長期的な保存を考えるなら、パネル張りの方がよいです。

しかしお値段も張りますので、
慣れてきたら、自分でパネルに水張りをしてみましょう。

和紙貼り済みパネル
和紙貼り済みパネル
和紙張りボード
和紙張りボード

その他、余裕があれば欲しいもの(代用アイディアも)

上に挙げたものだけで、とりあえず制作は始められるでしょう。

初めのうちは、少しは出費がかかりますね。

しかし、どんな趣味であっても、最初は投資が必要なもの。
日本画は、消耗する絵の具や紙以外の道具は、かなり長く使うことができるので、
損はしないと思います。

絵の具屋さんに行くと、その他にも様々な道具や材料があります。

これはどれくらいの必要度なの?

という疑問にお答えし、

余裕ができたら揃えて欲しい!と思うものをご紹介します。

刷毛(はけ)【必要度★★★★☆】

1本あると、広く塗れるので便利です。一生使えます。
これはほぼマストアイテムでしょう。

下地塗り/広い面積の塗り用に便利です。

水張りだけなら、柔らかなスポンジなどでも出来ますが…

刷毛
刷毛

色々な筆 【必要度★★★☆☆】

平筆(準マストアイテム)や、
丸筆の中でも、筆には実に色々な種類があります。

それは、筆の材料・太さ・長さなど色々な要素が関係し
絵の具の含み方や、コシの強さが全く違ってくるからです。

まずは基本の3本(上に紹介したもの…彩色・則妙・面相)を使ってみて、

慣れてきたら別のものもトライしてみる。
その中で自分の気に入ったものを見つけれられるとよいでしょう。

また、日本画筆は岩絵の具のザラザラで穂先が削れてしまうので、
ある程度消耗品となります。

「穂先に1本だけ出ている『命毛』が切れたら買い替え時」 とも言われます。
プロでなければそこまでシビアになる必要はありませんが、

あまりに「先が効かない」…つまり先が摩耗して、
筆先を使った表現ができないもので描いていると、
作品の筆跡がきれいにいきません。

『公房筆を選ばず』という言葉もありますが、
一般的には、よい筆を使うというのは、
上達への近道
だと思います。

筆巻き 【必要度★★★☆☆】

いろいろな筆巻き
いろいろな筆巻き

筆を使い終わったら、水分をしっかりとふき取って、乾かすのが基本です。

置き方は、平置きにします。

もし筆を濡れたまま、プラスチックケースなどに入れておいてしまえば、
すぐに筆の根元が痛んで(腐ったりカビが生える)
毛が抜けたり、使えなくなってしまうことでしょう。

もし筆を持ち歩くようなことがあれば、
または自宅でも都度道具をしまう必要があるなら、
通気性の良い竹製の筆巻きを使いましょう。

手持ちの、書道のものなどがあれば、もちろんそれで大丈夫です。

墨と硯 【必要度★★★☆☆】

松煙墨=茶墨
松煙墨=茶墨
硯

墨を自分で溶きおろす場合に必要です。
左のサイズはとても小さく、私は持ち運び用にしていますが、
自宅で使うなら右くらいのものがあった方がいいでしょう。

墨には大きく分けて2週類あり、

  • 油煙墨(ゆえんぼく)=茶墨
  • 松煙墨(しょうえんぼく)=青墨

とありますが、最初は油煙墨が使いやすいと言われています。

墨について詳しくはこちら

水差し 【必要度★★☆☆☆】

こんな水差しが便利
こんな水差しが便利

絵の具を水で溶くときに、
ちょうどいい量だけを絵皿に足すことができます。

しかも、いつもキレイな水です。

筆洗から水を足すようにする場合、
筆を洗った時すぐに筆洗の水が濁ってしまうので、
水換えの頻度が多くなります。

膠鍋(にかわなべ)/ガラス瓶【必要度★★☆☆☆】

にかわなべ
にかわなべ

固形の膠を自宅で溶くようになれば、あなたも日本画通…

膠は沸騰させてしまうと粘着力がなくなるので、
湯せんをして溶かします。

湯せんには、陶器製の膠鍋か、適当なガラス瓶でもよいのですが、

ガラス瓶は急な温度変化に弱いので
(冷蔵庫から出した、プルプルの膠液を溶かす場合など)
陶器製のほうが安心かもしれません。

絵の具さじ、膠さじ【必要度★☆☆☆☆】

絵の具さじと膠さじ
絵の具さじと膠さじ

絵の具さじ、これが意外と便利です。
私も実は最近まで使っておらず、
使った時の便利さに驚きました!

日本画の絵の具は、粉状のものを
小さなビニール袋に入れられて買うことが多いですが、
そこから自分の使いたい量を取り出して使います。


袋から直接絵皿にトントンと出すこともできるのですが、

これだと、時々不意にバサッと出てしまって
不要な分をちびちび袋に戻す(これがやりにくい…汗)
という羽目になります。

絵の具匙があれば、こんなことが無く、とっても快適です。

膠さじ(水さじ)は…膠鍋に絶妙な角度でひっかかり、あれば便利です。

念紙 【必要度★☆☆☆☆】

スケッチや下図を、本紙にトレースするのに使う念紙。
カーボンペーパーの、日本画版のようなものです。

少し大きめの作品(40号~)の場合には、あった方が便利だとは思いますが、

私は小さめの作品の場合には、
下図をコピーし、その裏を鉛筆で塗って使っていますので、
特に必要とも感じません。

また、既成の念紙は、本紙に写したときの色の粉が
絵の具を塗ったときどうなるか
も大事です。
(以前に、既製品を使ったら絵の具をはじいて描きにくかった… 
今のものは改良されているかも)

前評判を聞くか、自分で買って試してみるほかありません。

また、念紙は水干を使って自作もできます。

ちなみに、一般的に事務用品として売られている「カーボンペーパー」は
油性インクが染みこんでいる紙であり、
日本画とは基本合わないのでやめた方がいいです。

陶器の筆洗 【必要度★☆☆☆☆】

陶器の筆洗
陶器の筆洗

これはぶっちゃけ
お料理用のボウルやバケツ、水彩用のものなど何でもよいですが、

日本画用品に陶器がよくつかわれるのは、
絵の具に金属イオンが混ざらないよう
といった目的があるようです。

ですから、熱を加えるニカワの容器などは、ガラスか陶器がよい
と言われます。

本格的な日本画の先生に教わると、
ニカワをふやかしたり、ドーサを作ったりするボウルもホーローのものを使います。
(ホーローの表面はガラス質です)

ですが筆洗程度であれば、どんなものでも構わないと思います。

日本画材リスト・まとめ

ということで、ついつい長くなってしまいましたが、
日本画を始めるにあたり、必要なものリストは以下です。

【必要度★★★★★】
絵の具(岩絵の具)、胡粉、墨、絵皿、膠、筆、紙

【必要度★★★★☆】
絵の具(水干)、刷毛

【必要度★★★☆☆】
筆巻き、色々な筆、墨と硯

【必要度★★☆☆☆】
膠鍋、水差し

【必要度★☆☆☆☆】
絵の具さじ/膠さじ、念紙、陶器の筆洗

初めにも書きましたが、
その人の描き方などにより、
日本画の材料・道具の使い方は変わってきます。

細かいところは教わる先生などによって、違うところもあるでしょう。

しかし、私が一般的に日本画を描く方と関わってきて、
この辺の道具・材料は、ほぼ共通して基本のものだと思います。

一つのガイドになれば幸いです。

日本画材を買えるお店

この記事に載せてある商品は、
横浜に店舗のある「絵具屋三吉」さんのオンラインショップ(価格がで表示されている写真)と、
渋谷に店舗のある「ウエマツ」さんのオンラインショップ(価格がで表示されている写真)からです。

その他の専門店などについは、
こちらの記事にもありますので、ご参照ください。

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