ロンドンで静物画を描く理由

こんにちは、画家の atsuko です。アートで暮らしを豊かにするヒントについて書いています。
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画家活動

私はロンドン在住時に、主に水彩で静物画を描いていました。
花、器やの周りの物などを組み合わせた卓上の静物シリーズ、
また部屋に散らばる衣服を描いたシリーズです。

自分の作風がここに至った理由や経緯を書きたいと思います。

かつての私は、何を描いても「自分の半分」という感覚で、満足感も半分…
画家として、とても辛い時期を過ごしていました。

そして私が、現在につながる静物画を描き始めたのは、ロンドンに暮らす中でのことでした。

この時期、具象絵画の素晴らしさに改めて気づいたのです。

筆者作品
水彩画作品

イギリスでは、様々な美術館やギャラリーに行きました。
ナショナルギャラリーやテートなどの常設展は無料で入れますし、企画展も様々に行われています。
幸いなことに、コロナ前は近隣のヨーロッパの国に旅行して、絵画や美術品に触れることも出来ました。

何の気負いもなくたくさんの絵を観ていくうちに、
改めてヨーロッパ伝統の具象絵画の素晴らしさに胸打たれることが多くありました。

特に19世紀以前の、宗教画、人物画、静物画は、透視図法や陰影を駆使し、「リアルに描く」ことが重要視されます。

ダヴィンチ、ボッティチェッリ、カラバッジョからレンブラント、マネに至るまで、皆、タッチは様々ですが超リアル派です。

これらの絵画は現代では「古典」とされるジャンルだと思いますが、それらの絵画の素晴らしさ、美しさに再度気づくことが出来ました。

そして、ふと思い返したのが、自分もモチーフをリアルに描く技術をもっているということ。

古臭く、もう価値がないかのように思ってしまっていたこの技術は、何ら悪い事ではなく、
むしろ自分の強みとしていかさないと損だ、と改めて思えたのです。

そんな事は当たり前じゃないか、と思われそうですが、

斬新さが無いとダメなのでは、
とか、
「上手い」ことには実は価値は無いのでは、
などと考えているときは、自分の技術は、強みには思えませんでした。

けれど、それを覆される圧倒的な量の、具象を極めようとする絵画の数々、
その純粋な美しさに触れ、感動し、
自分も具象絵画を真に楽しんでいる、
おそらく世界中の人も同じように、この絵画達を目の前にして美しさに驚き、感動している。

この事実を受け入れ、
自分も、自分に出来ることをやってみよう、

そう思うことが出来たのです。

物を具体的に描写していくこと、その素晴らしさは、絵画の原点でもあり、どの国・民族の人々にも共通ものです。

今一度そのよさを自分の中で受け入れ、
見たもの美しさを、素直に描くこと。
その表現から再スタートし、
時には構成を遊んでみたり、
色を遊んでみたりといった、
自由な創作もうまれてきました。

物を描くという、画家としての基本を大事にする。このひとつの指標ができた、貴重なステップとなったと思っています。

筆者作品 チューリップ
筆者作品 チューリップ(部分)
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