顔彩とは、どんな絵の具?【種類や使い方を、日本画家が解説!】

こんにちは、画家の atsuko です。アートで暮らしを豊かにするヒントについて書いています。
日本画作品(一部)

日本画作品(一部)

吉祥の顔彩セット 日本画
吉祥の顔彩セットと自作の色見本

顔彩とは? 簡単に始められる日本画

「顔彩」という絵の具を、聞いたことがあるでしょうか。

画像検索すると、固形の水彩絵の具
のようなものが出てくると思います。

作例を写真でみても、顔彩で描いた絵は
水彩画と変わらなく見えるでしょう。

しかし、この「顔彩」は
材料がれっきとした日本の絵の具であり、

日本画の入り口、また絵手紙書画に使われる方も
いらっしゃいます。

・顔彩とは、一体どんな絵の具?
・日本画の絵の具とは、何が違うの?

など、顔彩の特徴・使い方を、日本画家が解説します。

★関連記事:顔彩の描き方【和の雰囲気の描き方やおすすめの紙をご紹介】

顔彩とは、どんな絵の具?

顔彩とは何か。

それは、絵の具の作り方の仕組みで考えると、
分かりやすいでしょう。

どんな絵の具も、基本的には

顔料=色の粉

これに、接着剤のようなものを混ぜて、

紙や布などのにくっつくように
作ってあります。

その接着剤の種類が、絵の具によって違います。

水彩絵の具なら
顔料+アラビアゴム

油絵の具は
顔料+

日本画と顔彩は
顔料+膠(ニカワ)

というつくりになっています。

あれ、「日本画」も「顔彩」も、

顔料とニカワだから、同じもの⁈

そうなんです。

ですから顔彩は日本画の一部ということになります。

ニカワとは動物や魚の骨を煮出してつくった、
日本古来の、絵画材料の接着剤なのですね。

そして、顔料=色の粉 の部分も、
顔彩には特徴があるので、その点について説明します。

顔彩とは?【顔彩と日本画の違い】

顔彩と日本画の違いは、

本格的日本画の場合

顔料となる岩絵の具を、
自分で膠で溶いて
使います。

なぜなら、岩絵具の種類が
粒の大きさなどとても種類が多く

混色の仕方も複雑だからです。

比べて顔彩では、

日本画で使用する絵の具の一部である
「水干」という顔料が
あらかじめ膠と練ってある
ので、

売っている形の、固形絵の具を水で溶くだけで使える
という、使い勝手のよいものになります。

ですから、手軽に始められる
日本画の入り口として

顔彩にトライしてみるのも楽しいでしょう。

顔彩とは?【日本古来の色ラインナップ】

吉祥などの水干セットにつくってある色は、

日本古来の色を選んであります。

例えば黄色なら

水彩では
「レモンイエロー」「カドミウムイエロー」ですが、

顔彩では
「山吹」「菜種色」
といった色になります。

ですから、それらの色をそのまま塗るだけで、
どこか和の雰囲気の絵に仕上がる

というのも、顔彩のよさです。

顔彩には、たくさんの色がそろっているので
それを可能にもしています。

おすすめは、を制作に併用することです。

線を墨で、色を顔彩でつけると和の雰囲気に
線を墨で、色を顔彩でつけると和の雰囲気に

また、金や銀の顔彩もあります。

これで、ぐっと和の色合いの
作品にすることができます!

顔彩とは?【顔彩の使い方】

顔彩の使い方は、

角皿のまま、筆に水をふくませて
絵の具の表面をなで
ます。

すると絵の具がすぐに溶けて筆についてくれるので、

そのまま絵に塗ってもよいですし、

混色をしたい場合には
一度絵皿やパレットに取って、使うのもありです。

顔彩に独特なのは、上にも書きましたが
日本画の水干絵の具と同じ顔料が使われている点です。

また、接着剤の膠の性質もあるのか、
水彩と比べて、塗ると少し肉厚な感じになります。

顔彩をためるように塗ったところ
顔彩をためるように塗ったところ
乾くとこんな感じ
乾くとこんな感じ

ですから、おすすめの使い方は、たっぷりと溶いた絵の具を、
ためるように塗るやり方
です。(ためぬり といいます)

もちろん透明水彩のように
薄く塗ることもできます
から、

描くモチーフや、表現したい雰囲気によって
自由に使える、というのは原則です!

顔彩とは?【いろいろな顔彩の種類】

私は、吉祥さんと、
日本画の胡粉で有名な上羽絵惣(白狐印)さんの顔彩をもっています。

どちらも鮮やかな色合いで、使い心地もとてもよいです。

色味が少しだけ違うので、好みの方を選ぶとよいと思います。

また、呉竹の「顔彩耽美」や、ホルベインの「新顔彩」もあります。

呉竹「顔彩耽美」には、ラメパールカラーの他、
こだわりの色セットものが色々とあるので、
使うのが楽しそうです。

吉祥の顔彩

上羽絵惣の顔彩

顔彩とは? 鉄鉢とは?

顔彩と鉄鉢
顔彩と鉄鉢

顔彩は小さな角形の容器に絵の具がつめてありますが、

同じ絵の具が、丸い大きな容器に入ったものが鉄鉢です。

大きな作品を制作するときには

思い切った量の絵の具を
溶くことができるので、

絵の具をたっぷりと使いたいときや、
よく使う色がある場合には
鉄鉢がおすすめです。

鉄鉢は単色で買えます。

このように独特の材料で作られており、
なおかつお手軽に扱える顔彩。

ぜひ、興味のある人は
トライしてみてください!

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