日本画の描き方【必要なプロセス、ざっと全部見せます】

こんにちは、画家の atsuko です。アートで暮らしを豊かにするヒントについて書いています。
日本画作品(一部)

日本画作品(一部)

ききょう 日本画
ききょう

日本画の描き方、初めから終わりまで

この記事では、日本画の制作、初めから終わりまでについて書いています。

私が普段している、1番ベーシックなやり方です。

本当はもう少し隅々まできちんとした
やり方があるのですが、
あれこれ詳しく書くととてつもなく長くなるので、

今回は私の経験上、(自分の描き方なら)
これだけはやった方がいいな…というプロセス
抜き出してみました。

他の画材で同じく、日本画にも
「これが絶対に正解」という描き方や
やり方はありませんが、

ザッとどんな風に制作しているか見ていただければ、

また制作される方の参考になれば幸いです。

日本画の描き方① スケッチ

キキョウのスケッチ
キキョウのスケッチ

スケッチブック等に、スケッチをします。

旬の花など、描きたいな!と思ったものがあれば
日頃からスケッチをしておき、
よいタイミングで本画に出来るようにしておきます。

スケッチは、どんな紙でも良いですが、
スケッチの役割としては、

最初にモチーフに出会ったときの感動を
描き留めて
おくものなのだということを
大切にします。

日本画の描き方② 下図

下図をもとに、クロッキー帳などに
絵の構図や色合いを考えて、何パターンか描いてみます。

このプロセスがとても大丈夫で、

いつくか考えてみると
最初のものはイマイチだった!

ということがよくあるので
自分が納得いくまで試してみます。

自分がそのモチーフを、どのように配置し
一番に何を伝えたいのか
を考える
作業、ともいえます。

実際の絵のサイズで確認
実際の絵のサイズで確認

次に、実際の絵のサイズに合わせて
構図を考えてみます。

(正式には、先程のものを小下図
こちらを大下図といいます。
大きな作品の場合はこちらの下図が大きくなるので)

小さな絵であれば、

パネル等にスケッチのコピーを置き
微妙な位置などを確かめます。

実際のサイズ感でみると
クロッキー帳の小下図とはまた違うものです。

小下図のときに考えた
「大事なこと」「伝えたいこと」を念頭に、

今度はモチーフの大きさや
余白の形などにも気を遣いながら
配置していきます。

この下図つくりは、一度考えたら
時間をおいて見直した方がいいので
数日かけて行います

最初に「これがいい!」と思っていても
後から見るとよくないということは
よくあります。

他の人のやっていることが
客観的に見えるのと同じですね!

そして、下図が決定した時点で描き始めたいので、

次項の水張りと地塗りは、

小下図を考える作業などと同時進行
またはそれ以前にやっておくのがいいでしょう。

下図を考え、一呼吸おくために
その間にその他の準備などをするといった感じです。

日本画の描き方③ 水張り

水張り
水張り

パネルに和紙を張り込みます。

水張りをしておけば、水を使った制作をしても
紙がフニャフニャになりません

日本画でも、水彩画でも、必須の準備でしょう。

★水張りのやり方はこちら

★もっと詳しく:下張りのやり方はこちら。パネルのアク止めの方法を紹介しています

日本画の描き方④ 地塗り

胡粉や水干を塗り、いちど和紙を覆っておきます。

この後の絵の具を乗りやすくしたり、
毛羽立ちやすい和紙の表面を保護したり
といった役割があります。

★もっと詳しく:胡粉の種類や使い方はこちら

日本画の描き方⑤ 下図トレース

下絵を本紙に写す
下絵を本紙に写す

下図に使ったコピーを、本紙に写します

大きな作品であればまた
別のやり方をする必要がありますが、

20号くらいの作品であれば
私は、スケッチをコピーしたものを直接使います。

スケッチのコピーの裏を
6Bなど柔らかめの鉛筆で塗り、

表から線をポールペンでなぞっていきます。

鉛筆の粉が薄くつくだけなので
後からの彩色作業に影響せず、やりやすいです。

コピーの裏を6Bの鉛筆で塗る
コピーの裏を6Bの鉛筆で塗る
本紙に当てて、上からボールペンでなぞる
本紙に当てて、上からボールペンでなぞる

日本画の描き方⑥ 骨描き

骨描き
骨描き

面相筆などに墨をつけて、トレースの上から線描きをします。

これを骨描き(こつがき)といいます。

この後の絵の具の厚みにもよりますが、

この線はわりと制作の最後まで見えるので
なるべく美しい線を引けるようにします。

絵の具を厚く塗る場合、
骨書きをしない作家さんもいらっしゃいます。

日本画の描き方⑥ 彩色【1】

墨を、影や暗いところおく
墨を、影や暗いところおく

墨を置くことで、影をつけたり
暗い部分をの明度を落として
おきます。

今回の作品は暗めの色合いにしたいので、
墨を多めに使っています。

日本画の描き方⑥ 彩色【2】

やっと、岩絵の具の出番!
やっと、岩絵の具の出番!

すみません…写真を撮るのを忘れてしまったので
別の絵に代わってもらっています!

この段階では、
岩絵具をどんどんつかって描いていきます。

どんどんといっても、日本画は
乾くまでに少し時間がかかる場合も多いので、

私はいくつかの作品を並行して制作し、

一枚の乾き時間に
他の作品、という感じで

つねに3、4枚の作品を
回して制作しています。

このプロセスは、人により、また作品により
やり方が実に様々です。

一色置いてみて、気に入らなければ
その絵の具を洗い流す

なんてこともザラです。

(そのお陰で、よいマチエールがうまれることも)

納得のいくまで、描いて、塗って、洗って、
また色を重ねていきます。

ほとんど出来たかな、と思ってから、
また2.3日置いて新鮮な目で見ると
発見があるので、

締切に余裕をもって制作したいものです。

★もっと知りたい:揉み紙のやり方はこちら

完成

キキョウ小作品
キキョウ小作品
ききょうアップ
ききょうアップ

この辺りでほぼ完成でしょうか。

ご覧のように、日本画制作には
いくつもの段階があり、

とにかく時間がかかります!

そのため、ゆったりした気持ちで、
何枚か同時に描くのも良い方法だと思います。

質問などがあれば、メールからお気軽にお問い合わせくださいね。

★もっと詳しく:金泥、銀泥の使い方はこちら

★合わせて読みたい:日本画の技法一覧はこちら

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