日本画の描き方、初めから終わりまで
この記事では、日本画の制作、初めから終わりまでについて書いています。
私が普段している、1番ベーシックなやり方です。
本当はもう少し隅々まできちんとした
やり方があるのですが、
あれこれ詳しく書くととてつもなく長くなるので、
今回は私の経験上、(自分の描き方なら)
これだけはやった方がいいな…というプロセスを
抜き出してみました。
他の画材で同じく、日本画にも
「これが絶対に正解」という描き方や
やり方はありませんが、
ザッとどんな風に制作しているか見ていただければ、
また制作される方の参考になれば幸いです。
日本画の描き方① スケッチ
![キキョウのスケッチ](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_8004.jpg)
スケッチブック等に、スケッチをします。
旬の花など、描きたいな!と思ったものがあれば
日頃からスケッチをしておき、
よいタイミングで本画に出来るようにしておきます。
スケッチは、どんな紙でも良いですが、
スケッチの役割としては、
最初にモチーフに出会ったときの感動を
描き留めておくものなのだということを
大切にします。
日本画の描き方② 下図
![明暗を考えておくのは大事](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_7162-edited.jpg)
![小下図はいろいろなバリエーションを](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_8005.jpg)
下図をもとに、クロッキー帳などに
絵の構図や色合いを考えて、何パターンか描いてみます。
このプロセスがとても大丈夫で、
いつくか考えてみると
最初のものはイマイチだった!
ということがよくあるので
自分が納得いくまで試してみます。
自分がそのモチーフを、どのように配置し
一番に何を伝えたいのか
を考える作業、ともいえます。
![実際の絵のサイズで確認](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_7159.jpg)
次に、実際の絵のサイズに合わせて
構図を考えてみます。
(正式には、先程のものを小下図、
こちらを大下図といいます。
大きな作品の場合はこちらの下図が大きくなるので)
小さな絵であれば、
パネル等にスケッチのコピーを置き
微妙な位置などを確かめます。
実際のサイズ感でみると
クロッキー帳の小下図とはまた違うものです。
小下図のときに考えた
「大事なこと」「伝えたいこと」を念頭に、
今度はモチーフの大きさや
余白の形などにも気を遣いながら
配置していきます。
この下図つくりは、一度考えたら
時間をおいて見直した方がいいので
数日かけて行います。
最初に「これがいい!」と思っていても
後から見るとよくないということは
よくあります。
他の人のやっていることが
客観的に見えるのと同じですね!
そして、下図が決定した時点で描き始めたいので、
次項の水張りと地塗りは、
小下図を考える作業などと同時進行
またはそれ以前にやっておくのがいいでしょう。
下図を考え、一呼吸おくために
その間にその他の準備などをするといった感じです。
日本画の描き方③ 水張り
![水張り](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_7201-1.jpg)
パネルに和紙を張り込みます。
水張りをしておけば、水を使った制作をしても
紙がフニャフニャになりません。
日本画でも、水彩画でも、必須の準備でしょう。
★水張りのやり方はこちら
★もっと詳しく:下張りのやり方はこちら。パネルのアク止めの方法を紹介しています
日本画の描き方④ 地塗り
胡粉や水干を塗り、いちど和紙を覆っておきます。
この後の絵の具を乗りやすくしたり、
毛羽立ちやすい和紙の表面を保護したり
といった役割があります。
★もっと詳しく:胡粉の種類や使い方はこちら
日本画の描き方⑤ 下図トレース
![下絵を本紙に写す](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_7167-1-edited.jpg)
下図に使ったコピーを、本紙に写します。
大きな作品であればまた
別のやり方をする必要がありますが、
20号くらいの作品であれば
私は、スケッチをコピーしたものを直接使います。
スケッチのコピーの裏を
6Bなど柔らかめの鉛筆で塗り、
表から線をポールペンでなぞっていきます。
鉛筆の粉が薄くつくだけなので
後からの彩色作業に影響せず、やりやすいです。
![コピーの裏を6Bの鉛筆で塗る](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_7165-1.jpg)
![本紙に当てて、上からボールペンでなぞる](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_7166-1.jpg)
日本画の描き方⑥ 骨描き
![骨描き](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_7175-1.jpg)
面相筆などに墨をつけて、トレースの上から線描きをします。
これを骨描き(こつがき)といいます。
この後の絵の具の厚みにもよりますが、
この線はわりと制作の最後まで見えるので
なるべく美しい線を引けるようにします。
絵の具を厚く塗る場合、
骨書きをしない作家さんもいらっしゃいます。
日本画の描き方⑥ 彩色【1】
![墨を、影や暗いところおく](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_7177-1-edited.jpg)
墨を置くことで、影をつけたり
暗い部分をの明度を落としておきます。
今回の作品は暗めの色合いにしたいので、
墨を多めに使っています。
日本画の描き方⑥ 彩色【2】
![やっと、岩絵の具の出番!](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_7974-1.jpg)
すみません…写真を撮るのを忘れてしまったので
別の絵に代わってもらっています!
この段階では、
岩絵具をどんどんつかって描いていきます。
どんどんといっても、日本画は
乾くまでに少し時間がかかる場合も多いので、
私はいくつかの作品を並行して制作し、
一枚の乾き時間に
他の作品、という感じで
つねに3、4枚の作品を
回して制作しています。
このプロセスは、人により、また作品により
やり方が実に様々です。
一色置いてみて、気に入らなければ
その絵の具を洗い流す
なんてこともザラです。
(そのお陰で、よいマチエールがうまれることも)
納得のいくまで、描いて、塗って、洗って、
また色を重ねていきます。
ほとんど出来たかな、と思ってから、
また2.3日置いて新鮮な目で見ると
発見があるので、
締切に余裕をもって制作したいものです。
★もっと知りたい:揉み紙のやり方はこちら
完成
![キキョウ小作品](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_8006.jpg)
![ききょうアップ](https://atsukosnakashima.com/wp-content/uploads/2024/01/img_8009-edited.jpg)
この辺りでほぼ完成でしょうか。
ご覧のように、日本画制作には
いくつもの段階があり、
とにかく時間がかかります!
そのため、ゆったりした気持ちで、
何枚か同時に描くのも良い方法だと思います。
質問などがあれば、メールからお気軽にお問い合わせくださいね。
★もっと詳しく:金泥、銀泥の使い方はこちら
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