ピッツハンガーマナーでロンドン19世紀建築家のマナーハウスと現代アートに浸る

こんにちは、画家の atsuko です。アートで暮らしを豊かにするヒントについて書いています。
日本画作品(一部)

日本画作品(一部)

イギリス・ヨーロッパ

ロンドン西部のイーリング地区にある、ピッツハンガーマナーを訪ねましたので、

このマナーハウスの簡単な歴史と見どころ、素敵だった部分を紹介します。

ピッツハンガーマナー外観
ピッツハンガーマナー外観

ピッツハンガーマナーの歴史


ピッツハンガーは、イギリスの歴史の中でも重要な建築家、ジョン・ソーンの郊外の自宅でした。

ジョン・ソーンは、1800年初頭に活躍した建築家です。
彼はロンドン中心部の家(ホルボーン)の後、郊外イーリングに邸宅を構えました。
ソーン自身により企画、建築、そして住まわれた、とてもユニークな建物です。

ここはソーン一家の暮らす家であり、クライアントを招いてショールームのように使用すること、また彼の建築をソーンの弟子たちに後継していく場所という目的をもっていました。

当時の最も活躍した人々の来客も多く、かの画家ターナーとの親交もあったよう。

建築の見どころなど

ソーンの建築は、ディテールの装飾にこだわりがあると思います。(プロではないので、詳しくは語れないのですが…)

ソーン建築の装飾
ソーン建築の装飾


それはホルボーンにある彼のもう一つの家(現在地はジョン・ソーンミュージアム)の、建築装飾のコレクションを見ればありありと伝わってくるのですが、
ソーンの建築は、新古典主義であり、一般的には、全時代のロココの官能性や通俗性に反し、古典(古代ギリシャ様式)に立ち帰り、論理性や、啓蒙的な性格をもつスタイルといわれています。

華美すぎないインテリア
華美すぎないインテリア

その通り、イタリアから持ち帰った古代ギリシャ様式のような装飾が所々にみられますが、
また、華美に装飾をし過ぎない、シンプルさもまた特徴であるようです。

明るくシンプルな暖炉まわり
明るくシンプルな暖炉まわり

言われてみればその通り、イギリスのマナーハウスを見学するとよくある、豪華絢爛なインテリアとは一味違い、直線や曲線の装飾が際立っています。

ソーンの建築の特徴として、光の取り入れ方が得意ともいわれているようですが、
この明るさとシンプルさが、現代にも通じる部分かもしれません。

その中にもみられる、古代ギリシャを彷彿とさせる装飾の部分が、現代のシンプル・モダンに慣れている私たちからみると程よく、優雅に感じられます。

天窓で明かりを取り入れている
天窓で明かりを取り入れている

朝顔の天井画の、朝食をとる部屋


私は、このデザイン画が、ホルボーンにあるソーンのもう一つのミュージアムに展示されているのを見て、ぜひ本物が見たいと思っていたのです。

朝顔の天井画
朝顔の天井画

このようなちょっとしたコンソールテーブルや、椅子もとてもオシャレでした。当時からのものなのでしょうか…

赤い壁紙を背にした椅子​
赤い壁紙を背にした椅子
天板の模様がかわいいコンソールテーブル
天板の模様がかわいいコンソールテーブル

お天気に恵まれたので、庭に面したサロンも明るく美しかったです。

こだわりの装飾の、一部のようなものが飾られています。これは何だろう。よく見ると輪切りになっていますね、、

装飾の一部が置かれた台
装飾の一部が台に置かれている

玄関ホール


直線や曲線をいかしたアーチの装飾
黄土色の大理石と、黒い石との配色(そして手前の赤い壁!)
建築ってすごいなぁと思わせてくれます。
この3D空間を、どうやって想像して形にするのか…

エントランスホール
エントランスホール

シノワズリ壁紙の部屋

このお屋敷でメインともいえる、チャイニーズウォールペーパーの部屋。


この壁紙は、2019年の改修のときに、絵の具で直接描かれています。
3人の職人さんで、半年かかって描いたとインタビューで語られていました。

シノワズリ壁紙の部屋
シノワズリ壁紙の部屋
シノワズリ壁紙の一部
シノワズリ壁紙の一部

所々に、展示の解説などがありました。
ここにあるのは、「ソーンの建築の本質的な特徴は、素材のクリエイティブな使い方にある」というような意味で、
下にはレンガやガラス、石、木などの様々な素材の使われている例が示されています。

展示解説
展示解説

寝室

寝室の、青い小花柄の壁紙
寝室の、青い小花柄の壁紙


保存されているオリジナルの壁紙。

オリジナルの壁紙
オリジナルの壁紙

ドアの鍵穴だったかな?こんなところもツボに入ってしまいます。

ドアの鍵穴
ドアの鍵穴

中庭

ちょっとした中庭 (というか通路) の、古い時代のものが残されている廃墟のような雰囲気もよいです。

2つの建物の通路​が中庭のよう
2つの建物の通路が中庭のよう。

ピッツハンガー・ギャラリーでは現代アートを楽しめる

ピッツハンガーは、敷地内に2つの建物があり、「ピッツハンガー・マナー」と「ピッツハンガー・ギャラリー」に分かれています。

ギャラリーの方の建物は、改修前に図書館だったそうです。

ギャラリーは広すぎないですが、二つの空間に分かれており、見応えはあります。

ギャラリーでは、主に現代アートの展示をしています。2019年の、改修・再オープン初の展示はアニッシュ・カプーアの企画だったようです。

私が訪ねたとき(2021年ころ?)はイギリスを代表する現代彫刻家、ジュリアン・オピーの展示でした。
広い空間をいかした、グラフィカルな立体の人物や、見る角度で印象の変わる風景のペインティングが、この場でしかできない体験ができました。

イベント


大人向けやファミリー向けのアートイベント等も、積極的に行なっているようです。詳しくはHPでスケジュール確認+チケット予約を。

ガーデン

Walpole Parkという公園に面しており、緑が多く、池もあるのでその周辺の草花が美しかったです。

窓から望むウォルポールパーク
窓から望むウォルポールパーク

公園の敷地には広い芝のスペース、プレイグラウンドもあるので、家族で訪れてピクニック等にもうってつけです。

カフェ


ピッツハンガー・マナーには広くて新しいカフェ・レストランが併設されています。ランチのセットをいただき、ゆったりと過ごすことができました。

イーリングはロンドンの中でも日本人の多い地区なので、探せば美味しいレストランもありそうですが、
(駅から歩く中で、よくあるチェーンのお店や、アジアンの飲食店などは沢山あった印象でした。)
私は地区に詳しくないので、ピッツハンガー敷地内のレストランはお洒落で手ごろで、ちょうどよかったです。

アクセス、公式HP

地下鉄か電車で
Ealing Broadway 駅より徒歩8分、またはSouth Ealing駅より徒歩15分など。

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