絵に合わせた額縁選び方。オーダーするとどんな流れ?
絵の展示といえば、額の用意は必須です。
作品を合った額に入れると、飾りやすい・保存面のよさだけでなく、ぐっと格好がよくなります。
とはいえ、
額縁って、どこで買うの?
どんな風に選ぶの?
作品に合う額って、どんなもの?
といった疑問もあると思います。
私が先日、作品に合わせてオーダーメイドの額縁をつくってもらったレポを参考に、
額縁選びについて知っていただければと思います。
額縁の選び方とは。店舗?ネット通販?
額縁を買う方法としては、大まかには以下のようなものがあります。
・額縁屋さんでオーダーメイド
・額屋さんで既製品を買う
・画材屋さんでオーダーメイド
・画材屋さんで既製品を買う
・ネットでオーダーメイド
・ネットで既製品を買う
上に行くにつれ、難易度、というか手間はかかり、値段も上がりますが、作品に合った、こだわったものを選べる感じです(例外もあります)。
専門の額縁屋さんに作品を持って行くと、経験豊富な専門の方が、作品に合わせた額の材質やサイズを、作家と相談のうえ、きちんと選んでくれます。作品が独自サイズのものでも大丈夫。
画材屋さんになると、知識のある方もいっらっしゃいますが、
お店によって、額には特化して詳しくない店員さんが対応されることもあります。
お店やタイミングによりけりですね。
そうなると、作品を持ちこんで実際に合わせられるよさはありますが、
どのようなものを選ぶかは、ある程度自分の勘頼みになります。
インターネットのメリットは、とにかく種類が選べる。自宅から注文できる。
ですが、デメリットは作品と実際の額を合わせてみることができない。相談できない。といったことです。
お店によっては、作品の写真を撮って、サイト上でシミュレーションできるシステムのあるところや、メールでの相談も可能でしょう。
今回は一番上の、額縁専門店でオーダーメイドをしましたので、額選びのいちばん細かいプロセスはどのようなことになるのか…を書いていきます。
オーダーメイドで額縁をつくってもらうのは、以下のような流れになります。
額縁の選び方① 作品を持参し、サンプルを合わせてみる
店員さんのおススメを聞く
額縁屋さんには、作品を持参して、合う額を選んでもらいます。
オンラインショップで購入できる額縁も多い中、実際にお店に買いに行くのは、
絵と額縁の実物同士を合わせてみないと、分からないことが多いからです。
それは、主に写真では分からない微妙な色合いや、材質感です。
実際の作品の表面の質感(日本画の岩絵の具の厚み、油絵ならツルツルしているかなど)と、
額縁の材料や塗装の感じ、重厚感、ボリューム感など
の相性がものを言います。
インターネットで洋服を買って、「確かに色もサイズも合っているけれども、
思ったものと印象が違った…」とか、「意外と似合わなかった」
といった経験のある方は、ピンとくるのではないでしょうか…(私もよくやります!)
額縁屋さんに行くと、額の角だけの額のサンプルが沢山飾ってあります。
自分の希望がある場合はそれを伝えながら、
店員さんのおすすめを実際に絵に当ててもらい、選んでいきます。
店員さんのおすすめを聞くのはとても大事です。
それを聞くために、わざわざ額縁屋さんに行って、額をつくってもらうのです。
額縁屋さんはこれまでにものすごい数の、様々な種類の作品を額装してきているわけですから、
どんな額が作品に合うか、作品を引き立たせるかを経験上知っています。
自分の好みや気になるものも合わせてみてもらいますが、
色々試した結果、店員さんのおすすめに納得する場合が多いです。
今回は、この日本画作品を持っていきました。
どちらの作品も、自分では、シンプルな白系か、わずかな装飾のあるゴールド系かなぁ?
と思って行きました。
額縁屋さんのおすすめも、大体同じ傾向でしたが、左の青バックの作品について
白い花の絵ですが、少し落ち着いたトーンなので、白すぎるフレームだと絵がくすんで見えてしまうかもしれませんね
ーなるほど。
周囲に空間をもたせた、ボックス型はいかがですか。
ーそう思っていました!
少しナチュラルな色合いの白、ゴールド、シルバーのサンプルを持ってきてくれる。
私が今回はどちらかというと、ゴールドを試したい気分だったので、それを伝えると、
額縁屋さんが、ゴールドとシルバーのサンプルを当ててくれました。
すると、自分が思っていた以上に、シルバーの方がしっくりくる気が。
自分では、絵の中に金箔が使われているので、ゴールドが合うのかなと考えましたが、
それ以上に背景の青との相性なのか、シルバー寄りの色と相性がよいということに気づきます。
・すべての額に、お好きな色を塗ることができます
・微妙な色合いは、塗料を混色したり、加工をすることで調整可能
とのこと!
店員さんが持ってきてくれたものは、装飾はないタイプだったので、それ以外にも、
彫りの装飾の入ったものも合わせてみてもらう。
すると、店員さん
こちらの額も合いますね!ただ、今回のボックス型となると、こちらの額は厚みが足りないのです
私の作品はパネル張りの日本画作品で、サイズも小さ目なので、
ボックス型のフレームにすることを決めていました。
その場合、パネルがすっぽり入る額の厚みが必要になります。
・もし好みの額で厚みが足りない場合、厚みを別の木でつぎ足してつくることも可能です。ただその場合、横からみたときに、本来の額との段差が少しできることになります。
・工程が増える分、少しお値段もアップします。
実際に木を継ぎ足したサンプルも見せてもらうと、継いだ部分は一段下がっていて、横から見ると、壁から少々浮いているような感じ。
特に疑問をもたなければ、それでOKな気もしましたが、
そこまでこだわるほど、「絶対にこの装飾がいい!」という訳でもなかったので、
初めの、額縁屋さんおすすめのシルバーフレームに戻る。
材質はこれで決定。
次はカラー。
先ほど、シルバー系がよいという感じにはなったものの、
改めて店員さん
このシルバーそのままよりは、もう少しゴールド寄りの色にするとよいかもしれません
ーーなるほど。
確かにそんな気もするが、
ちょっと微妙なところ過ぎて、何とも決断できなくなってしまったので、
マットとの相性もみて考えることに。
何しろ、すべては相性ですから、
作品・額・マット3点で見てみたくなったのです。
額縁の選び方② マットや底面の素材・色を選ぶ(最終的なサイズも)
今回はボックス型の額なので、作品と額縁の間に空間があり、その底の材質や色を選びます。
ボックス型でない場合も、水彩画や写真など紙の作品と、額の間に別の紙に、窓を開けた紙をはさむ場合が多く、これをマットと呼びます。
今回は分かりやすいので、ボックスフレームの底のことも「マット」と呼びます。
額の仕上がりサイズのことも同時に考えながら、マットを選びます。
絵と額の間のスペースは、どれくらいがいいのか。それにもよって、見え方が変わってきます。
そして、額のサイズにより、額に使う木材の長さも決定されるので、具体的な値段が決まってくる。
・販売もするとなると、最近の傾向では、額自体があまり大きくならないほうがいいかもしれません
・〇cmまでであれば、このクラスのお値段になります
というお話を聞きながら、それも念頭にマット選び。
マットの材質
これも、紙や布を貼る方法、板に直接塗る方法などがあるよう。
実際に合わせてみます。
まずはサンプルのある紙と布。
自分では、初めは紙のマットを考えていました。
あまり材質感が主張しない方がいい&豊富な種類から選べると思ったからです。
紙のマットは、それこそ白でも沢山の色、また表面のでこぼこ具合など、本当に色々の中から選べます。
しかし、額縁屋さんのおすすめで、布もいくつか試してみました。
先ほど選んだ額も当てながら、3つの相性で見ていく。
額色も、シルバー、ゴールドは卓上に残し、当てながら考える。
すると、やはりあるもんですね、絵がちょうど「キレイ!」に見える瞬間が。
最終的には、マットにはグレー系の布を、シルバー額(少しゴールド寄りに調整してもらう)と、合わせてつくってもらうことに決定。
絵の側面も、こちらで塗っていかなかったので、グレー系の「製本テープ」を貼ってもらうことに。
この「製本テープ」とは、接着面に中性の接着剤のついている、布のテープです。
中性というのが大事で、時間が経っても変化したりしにくいといいます。
ここまでの相談時間、軽く1時間はかかったと思います。
額縁の選び方③ その他決めること・見積り
裏板の止め方は「トンボ」
作品保管用の黄袋と、さし箱も、額のサイズでオーダー。
最終的な見積りを出してもらう。
やはりオーダーメイドは割高にはなりますが、
ここまでのこだわりを反映し、手作業でつくってもらう額縁ですから、
それなりの素敵さが作品に加えられると思います。
額縁の選び方④ 作品受け取り
約1か月後…完成。
額屋さんによると、作品の青の色と合うように、ほんのり同系色の塗料を混ぜて?くださったとのことでした!細かなこだわりに感動です!
額縁の選び方⑤ 完成までの期間
今回はオーダーしてから1ヶ月くらいで受け取りの連絡をいただきましたが、
額縁制作期間は、展示の日が決まっているのであれば、それに合わせて急いでもらえたりもするようです。
額縁の選び方⑥ 最後に・今回の額縁屋さん
作品にぴったりの額がみつかった瞬間、
それまで合わせていた別の額が、とたんに、くすんだものに見えるのです。
つまり、それほどに作品が見違えて、素敵に見える。
それ以外のものが、考えられなくなるほど。
全ての額をオーダーメイドにすると大変ですが、
時々はこのような機会をつくり、
作品と額との関係を確かめる機会をもちたいものです。
今回お世話になった額屋さんはこちら↓
アトモスフィア(東京・西荻窪)