絵の道を選んでみてどうだったか【美大に行くまで・行った後】

こんにちは、画家の atsuko です。アートで暮らしを豊かにするヒントについて書いています。
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画家活動

美大で日本画を学んだ。入学への道のり

今回は、美大で日本画を学んだ私自身が
どのような道を歩んできたか、のようなお話をします。

絵を勉強したい、描いていきたい
実際に美大に行った人はどんな風に暮らしているのか

そんなことを知りたい方の参考になればと思います。

美大に行く前

日本の美術大学では、絵画系の学科は
「洋画」科と「日本画」科という二択であることが多いです。

その中で私がなぜ日本画を選んだかというと、
「水で溶く」絵の具が好きだと思ったからです。

小さなころから絵を描くことが大好きだった私は
小学校のころから、図工クラブ→中学美術部→高校美術部(すべて普通科)
と絵を描き続けてきて、
高校では美術部で油絵を教わっていました。

それはそれで楽しかったけれど、その前に使っていた
水彩画の方が自分にはしっくり来る気がしていました。

それは、やはり絵の具を水で溶いた時の透明感や、
にじませたときの様子が本当に好きだったからかなと思います。

垂らしたたっぷりの水に、絵の具を落としたときの色の広がり。

たとえばイチゴやトマトの断面を見た時
そのみずみずしさをどう絵の具で描きたいか

そんなことばかりいつも考えていた気がします。

中学~高校生のときには、地元の美術館で、西洋画に触れる機会もありました。

ピカソ、ルノワール、ルオー
最もも影響を受けたのは
オディロン・ルドン

図書館の美術書コーナーでも、沢山の作品に触れました。
図書館には、自分で触れるチャンスの少ない現代美術家の作品も
自由に観ることが出来ました。

奈良美智などの、メランコリーな作品は、当時高校生だった私の心をぐっと掴みます。

それぞれの、作家の世界に浸り、絵画を美しいと感じること

また心にあることを表現するということを知り
自分のやりたいことはこれだ、とのめりこんでいきました。

高校生のときから使っている、水彩絵の具のパレットと顔彩​
高校生のときから使っている、水彩絵の具のパレットと顔彩

美大予備校へ行く

そんなタイミングで、高校生の美術の先
(多摩美術大学の油画出身の先生、長年新制作展で発表されている)が、

もし美大に興味があるならここだよ…と声を掛けてくれます。

それは、美術大学を受験するための予備校でした。

美術大学を受験するためには、それなりの受験対策をしないといけません。

大学で専門的なことを学ぶ前に、基礎的なデッサン力をつけておかないと
狭き門である美大受験に合格することが出来ないのです。

そして、親に頼んで東京の予備校の短期講習会に参加させてもらいました。

美大受験の予備校は、1日6時間、絵を描き続けます。

日本画家では、東京芸大の試験に合わせ、
2日で1枚のデッサン/静物着彩(水彩画)を仕上げていきます。

2日目の最後には講評会。

これをひたすら繰り返してデッサン力や
画面構成力など、基礎的な力をつけていきます。

そこからは、絵を学ぶことの楽しさにどっぷり浸かり、
その道以外は考えられなくなってしまいました。

ということで、現役合格は叶いませんでしたが、浪人の末
美術大学に入学し、日本画を学ぶことが出来ました。

薔薇のスケッチ
薔薇のスケッチ

美大に入った

大学からはやっと、本格的に日本画を始めました。

日本画と水彩画は絵の具の質の部分で大きな違いがありますが

基本的には水の動きをいかす絵の具である
というところで共通しています。

そしてやはり、日本画の特徴である岩絵の具・墨・和紙。

学生時代はずっと、扱いが難しくて苦労の連続でした。

しかし、岩絵の具独特の美しさは、他には類のないものです。

そして慣れてくると色々な楽しみ方も奥深く、
素材そのものの研究の尽きないある画材でもあります。

絵の具の美しさを引き出す絵画づくり。

現在までその探求は終わらず(そしてこれからも続く)
一生かけて付き合う甲斐のある、世界だなと感じています。

偶然の出会いやきっかけが重なり、美術の道を選び、進むことになりましたが、
今も当時も、その全てに納得しています。

美術を学んで、仕事に結び付けたり
安定的な収入につなげることは簡単なことはありません。

それでも、自分が本当に好きで、勉強したいと思ったことを
やらせてもらえたことは
一生の宝物をもらったという気持ちがあるからです。

画家以外の仕事に多くの時間を割かばならない状況のときも
絵を描くということは、私の人生の中では一番の
また継続的なテーマであり続けてきました。

自分の心の中に、やりたいことがあるということは
それが生きる意味や目的になるということです。

そして、絵画は一生描き続けて、勉強しても、終わりや答えのない世界だということが自分の中で分かっています。ですから、自分の将来を考えても、「自分には絵がある」というのは、一生の宝物だと感じています。

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