顔彩の使い方~初心者でも和の絵が描ける~【おすすめの紙比較も】

こんにちは、画家の atsuko です。アートで暮らしを豊かにするヒントについて書いています。
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面も墨で描く 日本画材・描き方
面も墨で描く

顔彩の使い方!簡単に和風の絵を描く、4つのポイント

顔彩は、固形絵の具を水で溶いて描くという点で
水彩絵の具と似ており、

画用紙に普通に描けば、水彩画との見分けがつく人は
よほどの経験者だけでしょう。

顔彩セットには、それぞれの色に
和の色名が書かれていますが、

これを実際に使用したとき
当たり前ですが
絵からは色名は分かりません。

しかし、せっかく和の色の揃った顔彩、

他の画材に少しこだわるだけで
和の雰囲気をぐっとプラス
できる方法を
お伝えしようと思います。

今回のポイントは4つです。

  • 墨を使う
  • 和紙にこだわる
  • 金・銀を使う
  • 和のモチーフを描く

それぞれについて解説していきます。

顔彩の使い方① 【墨を使う】

を顔彩にプラスで使うと、
一気に、和の雰囲気の作品になります。

使う箇所は、

輪郭線だけでもよいですし、
面を塗ように

使ってもよいです。

下の例では、左側は輪郭線のみを墨で描いており、
右側は、葉の部分は面ごと墨で描いています。

輪郭線を墨で
輪郭線を墨で
面も墨で描く
面も墨で描く

輪郭線を描く筆は、

抑揚の少ない線なら 「面相筆(めんそうふで)」
抑揚をつけるなら 「(かい)」

などがおすすめです。

輪郭線だけでなく、もっと太い筆で
面も描きたい場合には、

削用」 や 「則妙 が使いやすいです。

使用する墨は、
自分で擦っても、

墨汁を使ってもよいです。

顔彩の使い方② 【和紙に描く】

顔彩におすすめの紙① にじみのある和紙

にじみのある和紙に、顔彩で描く
にじみのある和紙に、顔彩で描く

にじみのある和紙に描いた例です。

普通に水に溶いた顔彩をぬるだけで
じわんとにじんでくれるので、
味わいが出ます。

それこそ西洋の画材にはない表現で、

ぱっと見て
日本画!
という感じになりますね。

紙の美しさをいかしている
ともいえます。

難しさは、

①の和紙よりさらに、
摩擦に弱いため消しゴムが使えず、
鉛筆の下描きを消せない

という点です。

①と同じく、下絵を他の紙に描き、トレースすれば大丈夫です。

また、下絵なしで、勢いよく仕上げてしまうのも手です。

二度塗りが美しくない場合が多く、

書道のように一つの場所は一筆で仕上げる必要がある
というところは、

アドリブでどんどん描くのが向いている方には
格好の紙でしょう。

顔彩におすすめの紙② にじみのない和紙

にじみ止めされた和紙に顔彩で
にじみ止めされた和紙に顔彩で

にじみのない和紙に描いた作例です。

和紙の表面の美しさが、感じられると思います。

和紙に描く場合の難しさは

摩擦に弱いため消しゴムが使えず、
下書きで失敗できない

という点がありますが、
この点は

一度画用紙などに下絵を描き
それをトレース
する

という方法で解消できます。

ここさえ一手間加えれば、

和紙独特の表面の美しさ
これを感じられる作品が描けます。

(この作例では、鉛筆でうすく下描きをしています)

画用紙に、顔彩VS水彩 比較

画用紙に顔彩で
画用紙に顔彩で
画用紙に水彩で
画用紙に水彩で

この2枚は、画用紙に描いたものです。

上が、画用紙に顔彩
下が、画用紙に水彩です。

やはり、和紙と比べると、ぐっと和の雰囲気は抑えれます。

どちらも日本画筆で描いているので、タッチは和風ではありますね。

絵の具の感じの違いとしては、

(そもそも色選びが少し違っているというのはありますが)

顔彩の方が、顔料の濃さのようなものを感じられるでしょうか。
水彩の方は、少しライトな感じです。

描いていると、違いは余計に感じられます。

顔彩におすすめの和紙

自分好みのものを見つけるため、

小さな和紙に色々と描いてみるのがよいでしょう。

こちらのマルマンの画仙紙セットはポストカードサイズで、

複数種類を買ってもお値ごろ、かつ
色々なお店でも取り扱っているので入手しやすいです。

にじみの多い「本画仙紙」
にじみの多い「本画仙紙」
にじみの少ない「越前紙」
にじみの少ない「越前紙」

顔彩の使い方③ 【金・銀を使う】

顔彩には金や銀があるので、これを加えれば
日本画らしいイメージの作品ができます。

他の色と同じく、
筆に水を付けて溶くだけで塗れるのも
よいところです。

顔彩の使い方④ 【日本画用の筆を使う】

顔彩での制作には、日本画用の筆を使うことをおススメします。

日本画用の筆を使えば、
美しい筆跡をいかした作品が描けるのです。

日本画用の筆の特徴の1つ目は、
筆先の毛が一点でまとまっており、筆を引いたときにきれいな線で終われる
ということです。

日本画の筆は、筆先に一本、周囲の毛より少しだけ長い毛があり、
これを「命毛」といいます。

これがあるおかげで、
描きながら筆を引き上げたとき、シュッとした
美しい引き終わり
にすることができます。

日本画筆を使うことで、そのよさが作品にいかせるでしょう。

日本画筆の特徴の2つ目は、
いろいろな種類があるということです。

毛を取る動物の種類、
また、毛の種類や組み合わせや長さによる違いとは

主に、絵の具を含む量
そして、コシの強さ

が違います。

これは実際に使ってみないと実感できないものですが、
顔彩に使うなら、私のおススメは以下です。

  • 彩色(さいしき。含みがよく、広めの面積に絵の具を塗る用に。例:果物の実の部分など)
  • 則妙(そくみょう。含みがよく、筆先も使えるいいとこどり。)
  • 削用(さくよう。コシが強く、先が細い。線やシャープな表現に。例:葉っぱや細かい花びらなど)

加えて、線描き用の面相筆もあるとよいでしょう。

いずれも、私は「清晨堂」「不朽堂」の筆を使っています。
(清晨堂はウエマツ三吉など多くのお店で取り扱い。不朽堂は公式HPや「画材あーる」で)

顔彩の使い方⑤ 【和のモチーフを描く】

何を描くか。どんな雰囲気で描きたいか。

これは、絵を描くときの出発点であり、いちばん大事なポイント。

なので、敢えて「描きたいもの」を変える必要はありませんが、

日本らしいモチーフを描くというのは、日本画の心意気でもあります。

例えば果物なら ゆず、みかん、柿、和梨 など
花なら 桜、梅、あじさい、菊 など
野菜なら かぶ、ふきのとう、たけのこ、みょうが、わさび など

想像するだけで、もう日本らしい雰囲気がしてきますね。

日本の伝統的な絵画の世界では、こういった身近な動植物を描き
季節の移り変わりを愛でる

といった文化があります。

もしモチーフが洋風なものでも、
果物なら籠や、日本のやきものの上に乗せる
花なら和風の花瓶にいける

などの工夫をすることもできますね!

顔彩の使い方【さいごに】

この5つの方法で、顔彩を使って
より和の雰囲気の作品が描けます。

もちろん、これらの全ての方法を
一度に取り入れる必要はありません。

1つか2つでもプラスするだけで、
それぞれのよさで
和の要素を加えることができます。

ご自分のお持ちの画材や
興味に合わせて、
ぜひ挑戦してみてくださいね!

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