金泥・銀泥の使い方
日本画というと、
金・銀の使われた絵を
思い浮かべる方も多いと思います。
金銀を作品に使うには
- 箔(金箔・銀箔・プラチナ箔など)
- 泥(でい。金泥、銀泥、白金=プラチナ泥など)
の2種類の方法があります。
今回は、制作中にこの金泥を使ったので
その様子をご紹介したいと思います。
岩絵の具と似ていますが
ちょっと独特な使い心地です。
★合わせて読みたい★箔の種類について
金泥の使い方
箔と同じように、金泥にも本金や、代用金があるので
好みの色合いのものを選んで買います。
本金にも、金の割合(わずかに銀が混じっているものがある)や
産地の違いがあるので、
こだわってみると面白いかもしれません。
一包みが0.4gと、少ないように思われますが
伸びがいいので、小さ目の作品なら
まずはこれで十分でしょう。
絵皿に取る
包みから必要な量を絵皿にあけます。
金泥は、紙の包みで包んであります。
薬包紙というのでしょうか、
とても粒の細かな絵の具を、
紙だけでこんなにきちんと包めるのだなと
昔ながらの方法にちょっと感動していまいます。
開けながら、はずみでこぼしたり
息で吹き飛ばしたりしてしまわないよう、
そーっと扱います。
膠(にかわ)を加えて混ぜる
膠は1、2滴ずつ金泥に加えます。
金泥は岩絵の具よりも
定着に気を配らなければいけないので、
少しの膠の時点でしっかりと練ります。
徐々に膠を増やしながら混ぜ、
トロトロな感じまでいきます。
焼き付け
金泥の乗っている絵皿を
電熱器などの上に乗せて、水分を飛ばします。
可能なところまでは、指で擦りながらするとよいでしょう。
(ヤケドに注意!)
この作業を「焼き付け」といいます。
これにより、膠と粒子とのくっつきを助けるとともに
輝きが増していきます。
電熱器や保温マットのようなものは
私には日本画制作に必須アイテムで
制作中は常にONにしてあります。
お持ちでない方は、沸かしたお湯を入れた
コップのようなものの上に絵皿を乗せて
あたためることもできます。
少ししたらすぐに表面がカピカピに
乾いて固まります。
再び膠で溶く
焼き付けた金泥に、膠を加えて
またトロトロになるまで混ぜます。
水を加えて描く…完成!
水を加えて、描きやすい濃度にしたら完成です。
このとき、絵皿の上の方に
黒っぽい上澄みが出るので(灰汁、かいじゅうという)
これは捨ててしまったり、絵皿を傾けたりして
沈んでいる鮮やかな金を
ここぞという場所に使うとよいです。
金泥・銀泥の発色をよくする裏技
金泥も、他の日本画絵の具と同じく
粒子を伸ばして塗っていくので、
下の色が影響してきます。
ですから、きれいな胡粉下地の上に塗ると
明るい発色を得ることができます。
上の作品では、桔梗のめしべや星の部分に
下地の胡粉を塗っています。
また、これは私は銀泥でやったことがあるのですが
少し盛り上げた胡粉下地の上に銀泥を塗って、
細かめの紙やすりで磨くと
つやつやとした輝きが出ます。
余った金泥は
描き終わって余った金泥は
そのまま乾かして保存できます。
再度使用するときは、水を少量加えて
指で溶き下ろせば使えます。
(長期保存は避けましょう!)
金泥に似ている他の絵の具
絵の具屋さんにいくと、
「パール粉」「ゴールドアフレア」
などの、金色っぽい絵の具があります。
これならお値段的にもずっと手軽に
キラキラ効果を出すことができます。
塗った色の感じは金泥とは
全く違う感じになるのですが
(粒子が軽いので、フワッと浮く感じ・
明るめ、軽めの輝きになる)
それも敢えて楽しんで使えれば
よいと思います。
使える絵の具が増えると、
表現の幅の増えますね。
●金泥・銀泥を買えるお店 絵の具屋三吉さん
こんな風に使いたい…巨匠の金泥作品
現代の画家だけでなく、
昔の画家の作品から得られるヒントは多いものです。
特に江戸以前の作品は、
技法面などから限られた表現方法であったため
思い切った描き方が多い
といった印象を受けます。
ここに載せたものはほんの一例…
たくさんの作品を鑑賞して
巨匠の感性・息遣いに想像をめぐらし
制作にいかしていきたいものです。