ウィリアム・モリス とは
ウィリアム・モリス (1834-1896)とは
言わずもがな、イギリスの、おそらく歴代で1番有名な、デザイナー。
ロンドンでも、リバティをはじめ、彼の作品を目にすることがやはり多かったです。
日本でもモリスのデザインは人気で、
洋服やいろいろなグッズになっているものも、本当によく見る気がします。
このモリスという人物は一体どんな人か、
そしてロンドンで見つけたモリススポット等について書きたいと思います。
ウィリアム・モリスとはどんな人?
ウィリアム・モリスは、デザイナーでありながら、思想家、詩人、社会活動家など、とても多彩でリーダーシップもある人物であったようです。
芸術界ではアーツ・アンド・クラフツ運動のリーダーでした。
アーツ・アンド・クラフツ運動では、
近代工業革命により、安くて質の悪い製品が大量生産されている現状に異を唱え、
「手工芸の美しさ」を復興させようと、テキスタイルを始め、壁紙や家具作りをするMorris & Co.を設立しました。
モリスの代表作
ウィロウ・ボウ
いちご泥棒
モリスの名言
またモリスは思想家でもあり、
「役に立たないものや、美しく無いものは、家の中に置いてはいけない」
などの名言を残しています。
ロンドンで必見の、モリススポット
V&Aのモリス・ルーム
こちらはロンドン中心のチェルシー地区にある、ヴィクトリア&アルバートミュージアム(通称V&A)
の中にある、
3つあるダイニングルームのうちの1つの部屋。
壁面はモリスの名作ウィロウ・ボウの、レリーフバージョンで覆われていて、
とてもスペシャルな空間です。
まだ駆け出しであったモリスがこの仕事を受け、デザイナーとしての名を成したということです。
現在は、美術館内カフェの一部になっており、
好きなものをセルフで選べるランチは、
こんな素敵なお部屋で食べていいの⁈と驚いてしまうほどの気軽さ。(ロンドンなのでそれなりのお値段はしますが)
私はロンドンに知人が来たときなどは、必ずと言っていいほどここを訪れていました。
何と言っても、ミュージアム全体の赤レンガの建物もとっても美しく、
こんな場所にタダで入れるロンドン、最高!!と思わずにいられません。
ウィリアム・モリス・ギャラリー
ロンドン東部にある、モリス・ギャラリー。
もとはモリスが母や家族と暮らした家だそうです。
モリスが生きていた当時の製品やモリス商会の歴史を、展示物を通して、リアル感をもって知ることができます。
共に制作、活動をした家族や同時代のアーティストについての展示も充実しており、とても興味深かったです。
特に私が感動したのは、モリスが描いた、テキスタイルデザインの下図でした。
(上の写真はそのものではありませんが、このようなデザイン原画を見ることができます)
私の見たものは、鉛筆で、デザイン中の細かいドットや花びらの線描の影までもがびっしりと描いてありました。
モリスはこの作業が一番好きだった、と解説にあり、
あぁ、ものづくりの人なのだなぁと実感をもつことができ、感銘を受けました。
またモリスは「美しい本」をつくるため、活字の開発や自家出版にも力を注ぎましたが、その功績なども詳しく見ることができ、興味深かったです。
モリスと共に仕事をし、活躍の一助を担った妻や娘のメイ・モリスの作品なども。
レッド・ハウス
レッド・ハウスはロンドン東部にある、モリスのデザインした、結婚後の新居です。
新婚から、モリス夫妻が、実際5年程ここに住みました。
レッド・ハウスという名の通り、赤レンガの壁の美しい家です。
内装はシンプルながら(当日流行の、ヴィクトリア様式に反して) 、手仕事の多い、凝ったデザインになっておりいます。
オリジナルの家具やディテール、壁紙や壁画も見ることが出来ます。
ケルムスコット・マナー
コッツウォルズの南部、自然に囲まれた場所にあるケルムスコット・マナー。
レッドハウスの後にモリス夫妻と、緊密な関係にあった画家のロゼッティが移り住んだ場所です。
元は農家の家だったものを、モリス夫妻が買い取り、こちらは家の元々の姿にあまり手を入れないで住居としていました。
自然のモチーフをデザインにしばしば取り入れたモリスにとっては、インスピレーションの源であったよう。
コッツウォルズの、典型的ならはちみつ色の家の雰囲気であり、部屋の中にはモリスのファブリックなどがしつらわれています。
モリスデザインを取り入れた現代のインテリア
現在でも、Morris&Co. のブランドで、インテリアファブリックは大人気ですので、
日本の色々なお店でモリスのデザインを取り入れたインテリアを購入できます。
ロンドンでも、いまだにモリスの人気を伺えたのは、例えばこんなところでモリスのファブリックを見たとき。
ロンドンのスタイリッシュなインテリア雑貨屋さん Pentreath & Hall (ペントリース&ホール)にて、
モリスのデザインをオリジナルカラーで展開しているファブリックを使ったクッション等を扱っていました。
このファブリック達、お店の共同オーナー?であり、イギリスの著名インテリアデザイナーである Ben Pentreath 氏が Morris&Co.とコラボレーションしてデザインしたもの。
日本でも、こちらのサイトでベン氏のデザインを紹介しており、取扱店舗も検索できます。
また、大手のサンゲツでは、モリスデザインのインテリア商材を集めた「モリスクロニクルズ」を展開しているなど、多くのショップで取り扱いがあります。
Fiqでは、モリスの生地を使った、様々なおしゃれな商品も。
現代らしく、軽やかな色彩にアップデートされたモリスのデザイン。
150年の時を経ても、魅力は色褪せません。